takaさんのレポート
いきなりだが、パッション・ローズは僕にとってはライブがある度に必ず通うというほどのバンドではなかった。もちろん好きなバンドであったのは言うまでもないが。今回のライブに関しても、当時、すごく尊敬していたあるギタリストのバンドのHPから情報を得た。

僕らがまだ10代だった80年代後半から90年代前半、洋邦問わず、HR/HMがすごく盛り上がっていたように思う。本国ではオープニングアクトが精一杯のたいして売れてないバンドでも日本に来ればホールでそこそこの動員を誇ったし、日本にもたくさんのバンドがあった。そして最近、復活・再結成ブームで来日するバンドも珍しくない。“あの頃”はホントに徹夜して武道館のチケットを取ったバンドも今では小さなライブハウスすら、埋める事ができないという惨状だ。

近頃は、カバーブームらしい。そういわれてみればカバーソング、カバーアルバムといった類のものがやたらと目に付く。確かに成功例もあるが、大概はただの懐メロにしか過ぎない。再結成もしくは安易なカバーは優れたソングライター、プレイヤーがいかに少ないのかを露呈するだけのものになってしまっているような気がしてならない。

“あの頃”は決まって仲間3人でライブハウスに通ったが、今回のライブは一人で見ることになった。予定からかなり遅れての開始となった。まず3曲ほど、ビデオが流れたが、その間熱狂的なファンは高ぶる気持ちを抑えきる事ができなかっただろう。僕には“あの頃“にゆっくりと帰っていける時間となった。人によりライブ、バンドに対する思い入れはかなり違うと思うが、ただ懐かしいだけではなくメンバー、スタッフの一生懸命さが自分の大切なものを実感させてくれる貴重なときであったと感じる。

パッション・ローズのキャッチ・フレーズ(?)であるWILD&HEAVY。この言葉は一つ間違えると、HR/HMを嫌う人々の思うただ、うるさいだけのダサい騒音になってしまう。そこには優れた楽曲と演奏力がなければ成立する事が許されない。しかしパッション・ローズは、それを見事にやってのけたと思う。

今回のメンバーの発言の中で、メジャーと言う言葉をたびたび聞くことがあった。少しでもパッション・ローズに触れた事がある人ならわかると思うが楽曲、演奏力、何をとってもプロレベルであった事は間違いないと思う。よくこの世界では運が重要だといわれるが、僕はただタイミングが合わなかった。それだけだと思う。

あえて問いたい。メジャーに望むものは何であったのか。金儲けがしたい。有名になりたい。アイドルと結婚したい。たくさんの人間の前でライブがしたい、CDを聴かせたい。あげればキリがないし、もちろんどれも否定するものでもされるものでもない。しかし一番の目的はやはり、いい音楽をずっと残したい。という事ではないだろうか。もしそうであれば、“あの日“10月11日に目的は達成されたと信じている。